僕は海の中で叫び声をあげた
体中の力を集め 思いっきり はるか遠くにある大陸まで届くように
海は気泡で一杯になった
やがて波音の世界に戻る 静寂が僕を包む
息が苦しくなって海面に顔を上げた
そこで僕は叫ばない
自由や権利を振りかざし 右も左も我らに従えと命令する世界
意志と欲望と無知と勘違いが幾重にも絡みつき
あちこちから見えない何かが
いくつもいくつも覆いかぶさってくる
考えようとする人を排除する
だから僕は息をひそめるのだ
今日も僕は一人で海にもぐる
物事の本質が海底に落ちている